ビジネススクールの定義まずは、ビジネススクールの定義から確認していきましょう。ビジネススクールとは?ビジネススクールの定義は幅広く、海外と日本でもその認識が異なります。海外では一般的に、MBA(経営学修士)が取得できる大学院のことをビジネススクールといいます。しかし、日本ではそればかりではなく、幅広くビジネスに関する知識やスキルが得られる教育機関や講座の総称をビジネススクールと呼ぶ傾向にあります。つまり日本におけるビジネススクールは、MBA学位取得を目指す経営大学院だけではありません。MBA以外のビジネスに関する学位が取得できる大学院や、数ヶ月前後など短期間の学習を提供するスクール、1日だけの講座やセミナーなど、その形態は多岐にわたります。ビジネススクールの目的と役割日本におけるビジネススクールの目的や役割は、それぞれの教育機関の方針によって大きく異なります。経営学を学び、MBAなどの学位取得を目指す経営大学院から、マーケティング、会計・財務、リーダーシップの育成や新規事業構想に特化した教育機関、広くビジネスにおいて必要な知識やスキルを磨く予備校やセミナーなど、その形態はさまざまです。講義が中心の講座やセミナーの場合は、ビジネスに対する基本的な知識を習得することが目的となっていると考えられます。一方、長期的なカリキュラムが組まれた大学院などの場合は、受け身の講義だけではなく、レポート課題やディスカッション、課題に直面した場合を想定したシミュレーションなどもカリキュラムに組み込まれています。前者は安価かつ、短期間で気軽に受講できる反面、後者のほうが実践的な内容まで包括的に経験でき、実務にも有効に活かせる学びが得られるでしょう。ビジネススクールの受講を考える際は、教育機関や講座による違いを理解し、自身の目標や学びたいことにマッチする学びの場を見極めることが重要です。受講前に講座内容や形式などをよく確認し、自身のニーズとマッチするかどうかを検討しましょう。ビジネススクールの歴史と背景次に、ビジネススクールの歴史と背景についてご紹介します。世界のビジネススクールの歴史ビジネススクールの始まりは、アメリカで1881年に生まれたウォートンスクールだと言われています。それから徐々に、経営を科学的に分析していく学問が発展しました。その後、1908年に設立されたハーバード・ビジネス・スクールが、成功した企業の経営状況を分析したものを教材として利用する「ケースメソッド」を開発します。このケースメソッドは、経営の実践能力を培うための教育方法として定着しました。以後、ケースメソッドを基礎とした教育を行うビジネススクールが世界的に普及し、受講者も徐々に増えていったと言われています。日本におけるビジネススクールの発展日本国内最初のビジネススクールは、1962年に創立された慶應大学ビジネス・スクール(慶應義塾大学大学院経営管理研究科)です。ここでも、ハーバード・ビジネス・スクールのケースメソッドを基礎とした教育が行われたと言われています。2000年には、名古屋商科大学ビジネススクールが、働きながら受講できる「パートタイムMBA」を開始し、日本国内でも社会人向けの教育機関として少しずつ注目を集めるようになりました。その後、2003年の学校教育法改正によって、専門職大学院制度が誕生します。海外と比較するとスタートに遅れはありながらも、MBAに対応した大学院やMBA教育に精通する指導者も徐々に増えました。現在はMBA取得に特化した経営大学院だけでなく、ビジネスに関する予備校や通信講座、オンライン講座など、多様なビジネススクールが数多く存在しています。ビジネススクールで学べる内容具体的に、ビジネススクールで学べる内容について紹介します。MBAプログラムとは?MBAとは「Master of Business Administration」の略称で、日本では「経営学修士」「経営管理修士」とも呼ばれます。MBAは、大学院で経営学の修士課程を修了した人が得られる学位です。あくまでも学位であり、資格ではありません。MBAを取得できる大学院が提供している学習カリキュラムを「MBAプログラム」と言います。現在は国内外のMBAプログラムをオンラインで受講できるオンラインMBAや、平日や土日を中心に受講できるパートタイムMBAなど、受講形態も多様化しています。日本には、このMBAプログラムが学べる経営大学院以外にも、異なる角度からビジネスについて学べるビジネススクールが多く存在しています。MBAについては、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてみてください。「MBAとは? 取得するメリット・取得方法など徹底解説」ケースメソッドやディスカッションの重要性ビジネススクールにおける講義では「ケースメソッド」がよく導入されています。ケースメソッドとは、ある事例を擬似体験することで、問題解決のプロセスを学ぶ研修方法の一つです。1908年に設立されたハーバード・ビジネス・スクールから生まれたケースメソッドは、現在のMBAプログラムやビジネススクールにも受け継がれています。具体的には、現実にも起こりうる経営課題を想定し、現状分析やプレゼンテーション、受講生同士のディスカッションなどを通して、課題解決や目標の達成を目指していきます。特にディスカッションでは、自身の考え方を整理してアウトプットし、相手の意見を聞きながら話し合いを重ねる過程を体験できます。準備段階で、ケースとして挙げられた課題としっかりと向き合い、自身の考えをまとめあげなければなりません。この経験は、一方的な講義や書籍からは得られない貴重な学びとなるでしょう。実務においても重要なコミュニケーション能力やディスカッション能力を養いながら、普段は出会えない人の考え方に触れる機会を数多く得られることも、貴重な経験となることでしょう。主要な科目とカリキュラムビジネススクールで学べる主要な科目は、以下のようなものが挙げられます。これらの学習を通し、実務にも活かせる知識やビジネススキルを幅広く養うことがスクールの目的です。経営学マーケティング会計学・ファイナンス人的資源管理組織行動マネジメントなど細かいカリキュラム内容は、それぞれの大学院や教育機関が重視している内容によっても異なります。たとえば、ケースメソッドに基づいたディスカッションを重視しているところもあれば、理論の理解に重点を置いたカリキュラムを展開しているビジネススクールもあります。また、経営の基礎となる伝統的な内容に加え、変わりゆく社会の流れに合わせたビジネススキルの養成を目指し、英語でのコミュニケーション能力や国際感覚の養成、テクノロジーに関する知識を重視した授業を取り入れているスクールもあります。ビジネススクールの選び方ここからは、自分に合ったビジネススクールの選び方のポイントについて解説します。MBAとビジネススクールの違いまず、日本ではすべてのビジネススクールでMBAが取得できるわけではありません。繰り返しとなりますが、日本のビジネススクールの定義は幅広く、ビジネスに関する教育機関やセミナーなども含めた総称として認知されています。MBAの取得を目指す場合は、MBAプログラムに対応している経営大学院であるかを事前にしっかりと調べておくことが重要です。また、MBAプログラムに対応した大学院以外にも、ビジネスに関するスキルが身につけられるビジネススクールは数多く存在します。自身の思い描くキャリアや、実現したい目標に合ったカリキュラムや講座を提供しているスクールを選択することが重要です。たとえば、事業構想大学院大学では、新規事業を構想し、実践する人材を育成するMPD(事業構想修士)プログラムを展開しています。MPDは、可能性のある事業を見出し、アイデアを生み出す思考と体質を身につけることに特化したプログラムです。経営学を重視したMBAとは異なるアプローチで、新規事業を創出し続ける「イノベーション人材」の育成に取り組んでいます。MPDプログラムについての詳細は、下記ページも参考にしてください。事業構想修士(MPD)とはビジネススクールの将来性とキャリアパスビジネススクールに通った場合の将来性やキャリアパスについて、具体的に見ていきましょう。ビジネススクール卒業後のキャリア展望ビジネススクール卒業後は、学んだ知識や経験をさまざまな形でキャリアに活かすことが考えられます。経営層へのキャリアアップ目標の会社への転職新規事業やプロジェクトの構想・実践起業 など大学院やビジネススクールによって、どんなキャリアに進むことを見据えているかや、重視しているスキル、カリキュラムが異なります。そのため、自身が最終的に目指す目標に合ったビジネススクールを選ぶことが何より重要です。ビジネススクールの学びを活かす方法ビジネススクールでの学びの活かし方も、人それぞれです。たとえば、すでに実務経験をある程度積んでいる人であれば、会社でさらに活躍の幅を広げることや、自身の新たな目標の達成を目指すために、ビジネススクールでの学びを活かすことができるでしょう。まだ実務経験がそれほどない20代の方にとっても、ビジネススクールで学ぶことには大きな意味があります。新たな事業の構想に役立てたり、自身のキャリアを切り開いたりするための大きな経験となることでしょう。また、ビジネススクールで学習するメリットの一つとして、高い志を持つ他の受講生と出会える点があります。そこでできたネットワークを、自身の目標の達成に向けて活かすことも一つです。ただ「ビジネススクールに通った」「MBAを取得した」という事実だけで、キャリアを切り開くことは難しいでしょう。得た知識を卒業後に活かすために行動することで、初めてキャリアにつながることを念頭に置いておきましょう。まとめ - ビジネススクールの魅力と学びの価値世界ではもちろん、日本国内でもビジネススクールは広く普及しており、MBA以外にも身につけたいスキルに応じたカリキュラムを備えた教育機関が多数存在しています。自身の目標とマッチするものを選べば、その後のキャリアに活かせる知識やスキルを得られることでしょう。事業構想大学院大学でも「事業構想修士(MPD)」が取得できるビジネススクールを展開しています。事業構想大学院大学は、院生自らが事業の種を見つけ、育てるための専門職大学院です。数百以上のアイデアの中から可能性のある新規事業を構想し、実践を目指す過程を通して、実務につながる知識やスキルの習得を目指します。東京、名古屋、大阪、福岡、仙台にキャンパスを構えているほか、オンラインでの受講も可能です。事業構想大学院大学の詳細については、下記ページをご覧ください。事業構想修士(MPD)とは