アントレプレナーシップの定義まずは「アントレプレナーシップ」の定義から確認していきましょう。起業家精神とは何か英語から派生した「アントレプレナーシップ」は、日本語で「起業家精神」と言い換えられることがあります。「起業家精神」とは、新しい事業をゼロから生み出す起業家に求められる姿勢のことです。具体的にどんな姿勢が必要なのかは、起業家や経済学者など、それぞれの考え方によって異なる部分もありますが、一般的には「リスクを恐れずに新しい事業を創造する」「事業を成功させるために積極的に行動できる」姿勢を指す場合が多い傾向にあります。起業家精神というと元々人に備わった資質のようなニュアンスがありますが、実際はそうではありません。起業に必要な考え方や姿勢を学んだり、そうした行動を心がけたりすることで、誰もが身につけられるものです。ちなみに文部科学省は、アントレプレナーシップを「急激な社会環境の変化を受容し、新たな価値を生み出していく精神」と定義しています。参考:文部科学省 全国アントレプレナーシップ醸成促進事業オフィシャルサイトアントレプレナーシップの起源と背景「アントレプレナーシップ」という日本語は、英単語の「entrepreneurship」が基となっています。さらに元をたどると「entrepreneurship」はフランス語の「entrepreneur」を語源とする単語です。この「entrepreneur」は、かつて「仲介人」「貿易商」といった意味で使われていました。18世紀頃から、経済学者が新しい産業を始める人を「アントレプレナー」と呼ぶようになり、有名なシュンペーターやドラッガーによって「アントレプレナーシップ」が経済用語として定義されるようになったといわれています。アントレプレナーシップの重要性現代社会を生きる私たちに求められるアントレプレナーシップとは、どのようなものなのでしょうか。現代社会での役割アントレプレナーシップは、起業家だけに求められる力ではありません。新しい価値を創造しようとする姿勢は、現代社会を生きる誰にとっても重要です。特に現代は、デジタル化・グローバル化によって急速に時代が変化しています。これまで当たり前だった雇用形態や社会の仕組み、価値観がどんどん更新されていく中で、新しい価値を探求する姿勢はビジネスパーソンにとって不可欠といえます。起業の文化が欧米と比べて未発達といわれる日本では、アントレプレナーシップ教育も発展途上です。しかし今後、より生産性を高めて国際競争力を向上させていくための手段として、文部科学省などが主導となってアントレプレナーシップ教育を推進しています。企業や個人にとってのメリット新しい価値を創造するためには、さまざまなスキルや資質が必要です。アントレプレナーシップは「新規事業に挑戦する」こと以外にも、ビジネスのあらゆる場面で活かすことができます。たとえば、企業でアントレプレナーシップ教育に取り組めば、新たな事業拡大の可能性だけでなく、従業員のビジネススキルの底上げにもつながるでしょう。個人としてのスキルアップだけでなく、それが組織全体にとってもプラスになります。アントレプレナーシップを身につける方法最後に、アントレプレナーシップを身につける方法について解説します。必要なスキルと資質アントレプレナーシップは具体的に、以下のようなスキルや資質に細分化できます。リーダーシップ未来や時代の変化に対する想像力集団の統率力柔軟な思考課題解決能力リスクを恐れない姿勢コミュニケーション能力ネットワークを広げる社交性 など変化する時代の中で新しい価値を見出していくためには、現代・未来における社会課題に向き合うことが欠かせません。また、リスクをポジティブに捉えながら、臆せず挑戦する力も求められます。そして、それらは決して自分一人で達成することはできません。自分にないスキルを持つ人々をまとめ上げ、手をとりあいながら遂行していく力も必要です。アントレプレナーシップ教育では、こうした力を総合的に養うことが目的となっています。教育やトレーニングの方法アントレプレナーシップを養う主な方法として挙げられるのが、専門機関で教育を受けることです。文部科学省も、大学生を対象とした「アントレプレナーシップ人材育成プログラム」を展開しています。そうしたアントレプレナーシップ教育に特化した学習プログラムだけでなく、起業家を目指す人向けのスクールなどでも、アントレプレナーシップ教育に力を入れている場合があります。初めから講座に踏み切るのが怖いという人は、1日限りの講座や関連書籍を通じた学習から始めてみるのもよいでしょう。また、企業内でアントレプレナーシップの育成を目指してトレーニングをしたり、そうした力を発揮しやすい環境づくりを意識したりすることも一つです。具体的には、新規事業や新規プロジェクトへの挑戦を推奨したり、従業員の裁量権を大きくしたりすることなどが挙げられます。まとめ - アントレプレナーシップの本質とその価値を理解しておきましょう「起業家精神」と言い換えられることも多いアントレプレナーシップですが、その資質やスキルは変化の激しい現代社会を生きる私たちにとって、幅広く役立つものです。起業に興味のある人はもちろん、新しい価値を創造するために必要な資質・スキルを身につけたいと考える人は、アントレプレナーシップの学習に取り組んでみてはいかがでしょうか。MPD(事業構想士)の取得を目指す事業構想大学院大学では、起業家に必要なマインドを学ぶために、アントレプレナーシップに関する科目も用意しています。MPDは、新規事業を構想するための研究を通し、未来につながる新しい事業を創出する人材を育成するプログラムです。詳細については、下記ページをご参照ください。事業構想修士(MPD)とは