起業アイデアとは?「起業アイデア」とは、新しい事業に関する構想のことを言います。まずは、起業におけるアイデアの重要性から理解していきましょう。起業アイデアの重要性起業における「アイデアの構想」は、事業を成功させるための最初のポイントです。すでにあるものと同じサービスや製品を販売しても、新たなビジネスとして成功させることは難しいでしょう。つまり、世界中にある既存のビジネスと異なる新しいアイデアを見つけることが、起業の第一歩です。始めからすでにやりたい仕事があれば良いですが、そうでない人は、起業アイデアを見つけるところから始める必要があります。特に現代は、テクノロジーの進化に伴い、社会の変化が著しい時代です。世の中の移り変わりも激しく、さまざまな情報が飛び交い、見通しがつきづらい部分もあるでしょう。しかし逆に、そうした社会の変化の流れや未来を見据えることができれば、既存のものとは異なる新しい事業が生み出せる可能性も高いです。現代の社会、そしてその未来の動向を敏感に捉えたアイデアを構想できるかどうかが、新しいビジネスの成功のカギを握ります。成功するアイデアの特徴成功につながりやすい起業アイデアの特徴としては、以下のようなポイントが挙げられます。時代や社会のニーズに応えられるライバルや競合が少ない類似のビジネスと比べて優位性があるビジネスが成立する市場がある自分の好きなことや得意なことが活かせる自分が長く続けていきたいと思える起業アイデアを考える際、どうしても「斬新であるかどうか」にこだわりがちです。もちろん斬新であることも一つの大事な要素ですが「ビジネスとして成功するかどうか」の視点が欠けていると、事業を維持することができません。また「自分の好きなことや得意なことが活かせる」「自分が長く続けていきたいと思える」ことも重要です。起業し、ビジネスを続けていくためには、モチベーションが欠かせません。インターネットやSNSで発見した起業アイデアを真似ただけのものや、まったく興味がない分野の事業では、長期的に続けることは難しいでしょう。つまり、成功につながる起業アイデアは「いかに事業を長く続けられるか」という長期的な視点まで考えられている傾向にあります。上記のポイントはいずれも、長い目で見たときに成功しやすいアイデアの特徴です。斬新なアイデアを思いつくことだけでなく、長い目で見て続けられる事業であるかどうかが、成功のポイントといえるでしょう。起業アイデアの見つけ方ここからは、具体的な起業アイデアの見つけ方について紹介します。いきなり一つの名案を見つけようとするのではなく、以下のような方法で時間をかけて考え、多くのアイデアを出してみることから始めましょう。日常生活や趣味からの発想私たちの日常生活は、さまざまな製品やサービスに支えられています。それら一つ一つも、とある起業家のアイデアから生まれたものです。新しい起業アイデアも、そうした日常生活の中から発想できるかもしれません。日常生活の中で「もっとこんなものがあれば便利なのに」「こんなサービスがあったらな」と思うことはないでしょうか。そうしたちょっとした不満やニーズが、起業アイデアのヒントになります。生活の些細な部分にも目を向け、何か浮かんだときはこまめにメモをとっておきましょう。また、好きなことや趣味がある人は、それらをビジネスにできないかを考えてみるのも一つです。自身が好きなことを活かすことができれば、前向きな姿勢で長期的にビジネスと向き合えます。好きなことや趣味から派生して、やってみたいことを洗い出してみるのもいいでしょう。社会問題やニーズを捉える成功しているビジネスは、人々のニーズに応え、社会問題の解決に貢献しているからこそ需要が発生しています。つまり新しい起業アイデアも、私たちが日々抱いているニーズや、私たちを取り巻く社会問題から発想することが可能です。まずは、今の世の中にどんなニーズや社会問題があるのかを知ることから始めてみましょう。自分が社会に対して不満を感じていることや、不便さを感じていることを挙げてみてください。ただ、自分自身の視点だけで考えていると、視野が狭くなりがちです。以下のような方法で他の人の意見を取り入れたり、今世の中に求められているものを分析したりしてみるのもいいでしょう。周りの人に「困っていること」「あったら嬉しいもの」を聞いてみるSNSを活用してトレンドやニーズを捉える本を通じて社会問題やニーズを読み取るヒット商品や人気のあるサービスの価値を分析する海外のビジネスモデルを参考にする日本にまだないビジネスを考える上でヒントになるのが、海外のビジネスです。中小企業庁の2022年版「小規模企業白書」の資料によると、2020年の日本における開業率は5.1%でした。一方、欧米諸国の開業率は、同資料によれば2020年の英国が11.9%、2019年の米国が9.2%、2019年のフランスが12.1%です。国によって統計の性質が異なるため、単純に⽐較することはできませんが、日本よりも欧米諸国の方が起業は活発な傾向にあることがわかります。日々多くの新事業が生まれる海外のビジネスに目を向ければ、日本国内ではまだ見ぬ起業アイデアを考えるヒントになるかもしれません。また、海外諸国と日本では、生活環境や文化、価値観も異なります。普段日本で生活している我々と海外で生活する人では、異なる発想を持っているともいえるでしょう。海外のビジネスをヒントにしてみることが、日本だけの視点では思いつかない起業アイデアをもたらしてくれるかもしれません。起業に関するイベントやコミュニティに参加する最近は、起業に興味がある人向けのイベントやコミュニティ作りに力を入れている自治体が増えています。たとえば福岡市は、創業を考えている人が気軽に相談できる場として「スタートアップカフェ」を設置し、さまざまなイベントを開催しています。内容は、起業を経験した若手経営者の話を聞けたり、同じ目標を持つ人たちと交流できたりとさまざまです。そうしたイベントに参加することが刺激となり、起業に向けたアイデアや発想法を磨けるかもしれません。参考:福岡市 起業・創業応援サイト|トップページ起業アイデアの練り方とブラッシュアップ起業に発展させられそうなアイデアが思いついたら、成功につながるように練り上げることも重要です。ここからは、起業アイデアの練り方やブラッシュアップのポイントを解説します。アイデアの見える化と具体化起業につながるアイデアが思いついたら、すぐに「見える化」「具体化」を進めましょう。アイデアを「見える化」する目的は、自分の中にある思考を整理することです。整理したアイデアを、さらに具体化することで実現へと近づけていきます。方法としては、頭の中にあるアイデアから思い浮かぶ単語を連想し、紙などに書き出してみましょう。ふせんに書いて分類してみたり、マインドマップにまとめたりすると、思考を整理しながら可視化できます。こうして「見える化」したアイデアを、以下のような方法で「具体化」していきましょう。別のアイデアと掛け合わせてみるターゲットやサービスを限定したり、要素を削ったりしてみる人に話して意見をもらう一つのアイデアをビジネスへとつなげていくためには、この「見える化」「具体化」で磨き上げる作業が非常に重要です。具体化できればできるほどビジョンが明確になり、その後の市場調査やビジネスモデル構築の手順がスムーズに進められるでしょう。マーケットリサーチとフィードバックの収集ビジネスを成功させるには、マーケットリサーチ(市場調査)も欠かせません。まずは、自身が考えている新しい事業が参入する市場について調べましょう。販売価格の水準、平均販売数(出荷台数など)競合になると想定される既存事業・企業最も売れている商品・サービスの特徴基本的には、大企業が参入していないようなニッチなビジネスであれば、市場の独占が期待できます。自身が考えている製品やサービスがすでに市場にある場合は、自身のアイデアがどんな点で優位に立てるかや、差別化できるポイントを考えてみましょう。また、起業経験のある人や知識のある第三者にアイデアを相談し、フィードバックを得るのも一つの手段です。ビジネスの世界では、第三者に自身の考えていることを話し、思考を磨き上げることを「壁打ち」と呼ぶことがあります。起業アイデアについても、壁打ちすることで本当にやりたいことが見つかったり、アドバイスを得られたりするかもしれません。専門知識を持つ人や豊富な経験のある人が、相談や壁打ちを受け付けていることもあります。第三者から客観的な意見をもらうことも、事業の構想には不可欠です。ある程度構想がまとまったタイミングで壁打ちに取り組んだり、フィードバックを受けたりしてみるのも良いでしょう。ビジネスモデルの構築マーケットリサーチやフィードバックなどを踏まえてアイデアを磨き上げたら、それらを基にビジネスモデルを構築していきましょう。ビジネスモデルとは、自身の考えたビジネスを通じて「誰に」「何を」「どうやって」価値を提供し、利益を得るのかを表す仕組みのことを指します。・「誰に」:どんな人を顧客・ターゲットにするか・「何を」:どんな内容の製品やサービスを提供するか・「どうやって」:仕入れ、生産にかかるコストをふまえ、どう利益を得るか上記3点をできる限り具体的に想定したビジネスモデルを構築することで、ビジネスの成功へとつながっていくでしょう。起業アイデアの実現性と評価アイデアの具体性が高まったら、実現性について考えながら計画を練っていきましょう。アイデアの実現可能性の確認起業アイデアや構築したビジネスモデルが、実現可能かを見極めることも重要です。実現可能性について考えるために、以下のような視点からアイデアを捉え直してみましょう。起業することにより、自分にメリットがあるか成長し続けられる見込みがあるか資金を調達できるかもちろん、構想の段階では「可能性」を考えることしかできません。いくら構想が綿密でも、実際に成功するかはわからないものです。この段階では、できるだけ多角的な視点から考え、実現可能性がどこまで高められるかを考えるようにするとよいでしょう。リスク評価と対策の検討起業には、失敗もつきものです。しかし、リスクを最小限に抑えられるように対策を講じることはできます。起業前には必ず「どんなリスクがあるのか」「リスクにどう対策していくか」をできる限り想定しておきましょう。具体的には、大きなリスクを回避する方法として以下のような手段が挙げられます。スモールビジネスから始める起業資金はできるだけ抑える困ったときに相談できる専門家を探しておく最初から大きな資金を投じてしまうと、失敗した際のリスクも大きくなります。そうした事態を避けるためにも、まずは小規模な業態からスタートし、徐々に規模を拡大していくことも一つのリスク対策です。また、ビジネスを進める上でわからないことが生じた際、自己判断で進めてしまい、失敗につながることがあります。困ったときに相談できる専門家とのコネクションを作っておくことも欠かせません。資金調達とビジネスプランの策定ビジネスをスタートするためには、資金が必要です。最初は利益がない状態から始まるため、最初に事業を円滑に進めていくための運転資金を用意しなければなりません。法人設立の際は、この最初の運転資金を「資本金」と呼びます。法人の場合、資本金をどれくらい用意できるかによって「会社の体力」や「資金調達力」が判断されることもあります。起業の際は、こうした最初の資金調達をどのように行うかも検討しておかなければなりません。この資金調達の際に重要なのが、ビジネスプランの策定です。ビジネスプランとは、事業の目標を達成するための計画書のことを指します。資金調達で、人にお金を借りたり、融資を受けたりする場合は、このビジネスプランを提示して自身のビジネスの将来性や可能性をアピールすることが必要です。ビジネスプランの策定に必要な主な項目事業コンセプト(目的やどんなニーズや課題に応えるのか)商品やサービスの内容ターゲットとなる市場財務計画(運転資金がどれくらい必要か、利益がどれくらい見込めるかなど)労働人材や設備を確保する方法宣伝、集客方法事業拡大の余地 などこうしたビジネスプランについて時間をかけて磨き上げることで、起業後のビジョンをより明確化することができます。資金調達方法やビジネスプランまで考え、実現可能性が最大限まで高まったら、起業に向けた手続きなどの具体的な動きを進めていくとよいでしょう。まとめ - 起業アイデアをビジネスの場で成功させましょう起業アイデアは、簡単にひらめくものではありません。日常生活や社会問題、海外のビジネスなど、身近なところから遠いところにまで目を向けることが大切です。また、見つけたアイデアの芽を具体化して大きくしていくことで、成功につながるビジネス構想へと育っていきます。育てたアイデアがビジネスとして花開くよう、起業に踏み切る前にしっかりと計画を立てましょう。成功につながる起業アイデアの発想方法や、起業に必要なスキルを身につけたい方は、専門機関で学習を行うこともおすすめです。たとえば事業構想大学院大学は、事業の種を見つけ、成功まで育てる人材「MPD(事業構想士)」を育成する専門職大学院です。アイデアをゼロから生み出し、未来につながる新しい事業を創出することを目指します。また、それらを実現可能な構想へと発展させるために、必要な力も習得できます。詳細は、下記ページをご参照ください。事業構想修士(MPD)とは