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現役院生

授業を受けたそばから事業構想のアイデアが膨らむ

 

 

 

〈プロフィール〉

瀬谷 春夫さん

有限会社サンライズロジテム 取締役社長

仙台校2023年度入学

 

高校時代から松下幸之助にあこがれ経営者になる目標を持つ。大学では経営学を学び、商社で5年間勤務した後、福利厚生代行サービス業で起業するも失敗。ベンチャー企業を支援する団体で起業支援などに携わった後、29歳の時に運送の会社、サンライズロジテムを創業。

 

 

入院を機にこれからの人生を見つめ直し、入学を決める

 

「郵便局より安く配達してくれるのなら、うちから発送するダイレクトメールのすべて瀬谷さんに任せたい」。瀬谷さんが2001年にサンライズロジテムを創業したきっかけはある会社の総務担当者からのひとことだった。それまで運送業には全く縁がなかったが、業界のことを調べてみると、末端のドライバーが何重もの下請け構造の底辺に位置し、安い運賃で忙殺されていることを知った。そこで、瀬谷さん自ら受注した仕事を個人事業主のドライバーに直接発注し、中抜きをすることで運賃を上げ、支払いも前払いにした。そのうえで「最優先でうちの仕事を受けてほしい」と依頼すると、ドライバーが見る間に集まり、メール便事業は仙台市内にとどまらず東北6県、全国へと広がっていった。以降、「社員を持たない、トラックを持たない運送業を続けている。

瀬谷さんが事業で心がけていることは「お客様がいくらかかってもいいからやってほしいと言う仕事に特化している」ことだ。週末に緊急で今日中に届けてほしいという依頼にも対応できるよう、ドライバーにあらかじめ緊急対応できる日のスケジュールを押さえて対応できるようにするなど、価格競争に巻き込まれないビジネスモデルを確立している。

50歳までの22年間会社を1日も休まず仕事にいそしんできた瀬谷さんが胆石を患ったのは2022年8月のこと。「コロナ禍で家族も見舞いにも来られない中、1人病室の天井を見つめ、残りの人生をどう生きるかを考えるきっかけになった」と話す。これまでの仕事のやり方を体系化するとともに、だれかに役立つ仕事をしたいと考えるようになり、事業構想大学院大学への入学を決めた。

 

 

どんな意見、アイデアでも評価される環境

 

入学して感じたのは、「人と違うこと、変わったことを言っても評価してもらえるところ」と瀬谷さん。「ゼミのチーム名がチーム混浴。裸で混浴に飛び込むくらいの「羞恥心」や「プライド」をかなぐり捨てたところに真のイノベーションがあるという思いをその名前に込めています。それぞれ異なったバックグラウンドを持つ院生同士が活発に議論することで、どんどん新しいアイデアが出てきます」。

また教授と個別で相談する機会には1つ問いかけたことが10になって返ってくること、気軽にした質問でも的確かつ丁寧な答えが返ってくることにも日々圧倒されている。「新しいアイデアを出すのに、すでにあるものを単純に組み合わせるだけでなくて、そこにある視点を加えることで全く違うものができあがる、ということを教えていただいています。授業中に、その発想を自分の事業で応用したらどうなるかという構想がどんどん広がって、そちらに集中してしまい、先生の話が頭に入ってこないほど入り込んでしまうことがよくあります」と苦笑する。講義で得た気づきがあとからじわじわ効いてくることもある。「聞いている時、聞いた直後も考えさせられるんですが、飲んだ薬が効いてくるように翌日あたりに先生の言っていることはこういうことだったんだなと」。そのプロセスがまた面白いのだという。

 

 

正解がない問いを追究する場所

 

事業構想大学大学院に通うようになってから時間の使い方も変わったという瀬谷さん。「夜は早く寝て朝方4時、5時に起きて勉強をするのが習慣になりました。限られた時間をうまく生かそうと考えて、寝る前に考えるべき課題をメモして頭に入れてから寝ると、目覚めた時にその課題の解決策が明確になっていることがあります」。時間を効率よく使う方法も身に付いたと喜ぶ。

今、瀬谷さんが事業構想として温めているのが、福島県喜多方市の温泉で産出するレアメタルであるリチウムを生かしてまちおこしにつなげようというアイデアだ。「私はそれを温泉鉱山と呼んでいるのですが、いくつかの壁にぶつかっていて、それをクリアしながらなんとか実現させていきたいと思っています」。

 事業構想大学院大学で出会った学生も大きな財産だという。「仕事ではお会いしたことがないようなバックボーンが違う方の話はすごく楽しいですね。ふだん周りから社長と呼ばれて、皆さん気を使って話しているのを感じることがあるのですが、ここでは年齢も肩書きも一切関係なく対等に議論できるんです」。1月に大学院大学のプログラムが終わる時には「やり終えたという達成感よりも、これで終わってしまうのかという寂しさの方が大きく、せつなさを感じました」と充実していた日々を振り返る。

瀬谷さんは最後に事業構想大学院大学への入学を考えている人たちへのメッセージを語ってくれた。「この大学院は正解がない問いを追究するところ。自分が積極的に動かないと答えを見つけられないことにまず驚かれることでしょう。自分の考えがどう思われるのだろうと気にすることなく積極的に考えを発信できる場です。ふるさとのために貢献したい、だれかの力になりたい、社会の課題を解決したいといった思いを持っている方はぜひチャレンジしてみてください。いろんな先生方、院生との議論を通じて発想が広がり、自分の夢を叶えるプロセスを見つけることができると思います」。

 

 

瀬谷 春夫

瀬谷 春夫

(せや・はるお)
有限会社サンライズロジテム 取締役社長
仙台校2期生(2023年度入学)