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現役院生

本学で得た人脈を活かし新たな事業構想を

 

 

〈プロフィール〉

矢次 伸一朗さん

有限会社矢次衛生 代表取締役

福岡校2023年度入学

 

2009年に九州大学工学部を卒業後、母親が代表を務める有限会社矢次衛生に入社。2021年に代表取締役に就任。2017年からは桂川町と桂川商工会など官民協働で設立された「一般社団法人地域商社いいバイ桂川」の理事を3年間務めた。

 

入学して得られた気づき

 「さまざまな事業経験を積んでこられた講師の方、そしてさまざまな業種で働いている同期の院生が日々いろいろなことを発想しながら事業に取り組んでいることを聞いて、私が属している一般廃棄物処理業界がすごく守られている業界だったんだということに気づけたことが、一番の収穫だと感じています」。開口一番、矢次さんは事業構想大学院大学に通い始めて得られた価値をこう表現した。

 矢次さんが社長を務める矢次衛生は、し尿収集業務、浄化槽維持管理業務、ごみ収集業務を事業の柱としている。これらの事業はすべて市町村から許可や委託を受けて初めて行うことができる業務であり、安定して仕事が得られる一方、営業エリアが制限されているため事業を拡大することは難しい。今後は人口減少に伴い、顧客が減少し、事業の効率性が低下することも懸念される。

矢次さんは、2017年から3年間、地元の桂川町(けいせんまち)が主体になって設立された地域商社の理事としても参画。「そこで事業構想大学院大学が発行する月刊事業構想を読むようになって、大学院の存在を知りました」。そして、2021年には矢次衛生の社長に就任。「今の事業だけでは、20年、30年先に縮小せざるを得ません。事業構想大学院大学で、会社を存続させるための新しい事業の種を見つけることができればという思いで入学を決めました」と語る。

 

「脳を止める」ってどういうこと?

「新規事業に携わった経験がなかったので、事業構想大学院大学では事業化のための知識、人脈を築きたいと考えていた」という矢次さん。授業は、新たな事業構想に結びつけるための発想力やマーケティングに関する授業を選択した。

なかでも「クリエイティブ発想法」は矢次さんにとってこれまでにない気付きを与える授業だという。授業では、紙コップのデッサンから始まって、次はおかめ納豆のカップ、それから代々木体育館など、さまざまな対象をデッサンする。「デッサンを通して、ものや製品の特徴をとらえて、なぜそういう形をしているのかを考えていくのですが、授業で先生から『脳を止める』ということを言われるんです。はじめはその言葉の意味がまったくわかりませんでした。ただ、回数を重ねるうちに、ものを見るときには今までの自分の経験とか知識で判断してしまっていることに気づき、そのような先入観を一切排してそのものの本質を見るということなんだなということがわかるようになってきました。とらわれてきたものからいったん自由になることで新たな見え方が生まれる。それを新たな事業に生かすことができればと考えています」と話す。

 

変わったこと、変わらないこと

環境意識の高まりから、リサイクルや資源循環への関心が高まっている。矢次さんも一般廃棄物の収集運搬だけでなく、廃棄物の処分やリサイクルに事業を広げていくことで地域に貢献できるのではないかと考えていた。だが、現在は「もっと違う角度で自分の業界を見ていくと、そこにとらわれない新たな事業もできるのではないかという思いが芽生えています。それはもしかしたら悩みなのかもしれないですけど」と苦笑しながらも、冒頭の言葉にあるように、自身が身を置く業界を客観的に見つめながら、守られた業界の中で止まった思考から脱して得られる構想を楽しみにしている。

ただ、入学前から「世の中の人たちに必要とされる仕事ができるかどうかというのが一番大事な部分」だという思いは変わらない。「何をするにしても自分1人、自社だけではできることは限られるので、事業構想大学院大学で得た人脈も生かして、理解していただける人を増やし、巻き込んでいけるかが大事だと思っています」。とここで得られる発想、知識、人脈を生かし新たな事業構想に結びつけようとしている。

 

 

 

矢次 伸一朗

矢次 伸一朗

(やつぎ・しんいちろう)
有限会社矢次衛生 代表取締役
福岡校6期生(2023年度入学)