院生紹介
豊富な知見と実務経験を有する社会人院生たち。
社会の一翼を担う事業を創出する人材を、多数輩出している事業構想大学院大学。
幅広いフィールドにて事業構想を実践しつづけている、院生の活躍を紹介します。
名古屋校5期生 [2023年度入学]
石材業
刺激的な大学院生活 家業の事業転換を図る
家業の事業転換を図るべく入学
小学校6年生の時、卒業式から自宅に帰るとテレビにはその日に発生した東日本大震災の惨状が映し出されていた。「災害時に一人でも多くの命を救いたい」という思いが芽生え、大学では名古屋市大学生消防団の団長を務め、名古屋市消防局に入庁したという経歴を持つ田渕さん。家業は香川県の庵治牟礼地区でのみ採れる高級御影石「庵治石(あじいし)」の採掘・卸業を主にし、墓石にして販売する石材業を100年超にわたって営んでいる。「墓じまいや永代供養をする人が増え、事業の将来に明るい見通しは持てません。そこで事業転換を図ろうと考えているところです。当初は消防士を5年間続けて家業を継ごうと考えていたのですが、実績も知識もない状態で戻ったとしても新しい事業は生まれないなという考えがあり、そのことを大学時代の教授に相談したところ、新しい事業を起こすのであれば事業構想大学大学院に入学してみてはと進めていただき、入学を決めました」。消防局は2023年9月末で退職。現在は大学院に専念しており、卒業後に6代目として事業を承継する予定だ。
家業の事業を分析する良い機会に
「大学院に入学し、発想法の講義や、ゼミの同期の皆さんとの議論がすごく刺激になって発想力が身についたと実感しています」と手ごたえを語る田渕さん。1年次のゼミでは、イノベーションを生むための三つの発想法と三つの分析法を学んだうえで、例えば本の目次の中から好きな言葉をランダムに取ってきて他の本の目次と組み合わせて新しいことを発想してみたり、一つのキーワードから連想の枝葉を伸ばして課題や発想を見つけるフィッシュボーンダイアグラムという手法が印象的だったという。
ゼミ以外では第二創業をテーマにした講義から多くの気づきを得たという。「授業の中で家業の事業の分析を行う課題がありました。過去10年分の損益計算書(PL)や貸借対照表(BS)を見るだけでなく、ブランドや商品、従業員、創業から現在までの歴史をあらためて知ることができました。自己を振り返る授業では、守りたいという意識が強いことが確認でき、家業も承継したいという思いを改めて確認できました。これから自分が事業承継をするときに直面するであろう課題を考える良い機会になりました」。
フィールドリサーチの授業ではコメダ珈琲を題材に、実際に店に出かけて行き、人気の秘密を探った。「僕自身は、イスが全部ソファー席に統一されている点に着目し、良好な居住空間が作られているなと感じたのですが、そのほかにもどのようなお客様が多いのか、価格帯はどうなのかとか、市場調査の実際を学ぶことができて、今後の新事業に生かすことができそうだと感じました」。
院生どうしの交流についても「年齢も業種も異なる仲間が、お互いの壁を越えて率直に議論できる環境があり、皆さんの発想もそれぞれのバックグラウンドに基づいた特色がうかがえて面白いなと感じています」。また、院生や卒業生でつくる、事業承継予定者のコミュニティもあり「承継で不安に思っていることなどを気軽に話すことができることができる」という。
本業にとらわれず新たな事業を構想
「小さい頃から祖母や父から、大きくなったら家業を継いでほしいといわれていたので承継したいという気持ちは強くありました。最近になってそういう言葉を聞かなくなり、逆に、事業が厳しくなりつつあるのかなと引っかかっていました。自分は承継したいという気持ちだけは強くあったのですが、事業の内容も状況も詳しくは知らなかったですし、そもそも自分自身がどういう事業をしたいのかも考えておらず、経営のノウハウもない状況でした。事業構想大学院に入学して初めて自分のやりたいことやるべきことが明確になりました」といきいきした表情で語る田渕さん。
現在、新事業の構想もいくつか温めている。一つが趣味の筋トレから思いついた、筋トレトラック事業。「ジムで筋肉を鍛えている方は、自分の体を見せたいという人も多いんです。それならば見せる場所を作ればよいと考え、トラックに筋トレのマシンを載せて、そこで見せながら街中を走らせてみてはどうかな、と」。石材業という枠にとらわれず、自由な発想で事業承継に挑もうとしている。