院生紹介
豊富な知見と実務経験を有する社会人院生たち。
社会の一翼を担う事業を創出する人材を、多数輩出している事業構想大学院大学。
幅広いフィールドにて事業構想を実践しつづけている、院生の活躍を紹介します。
小林 佑輔
福岡校14期 [2025年度入学]
株式会社ステッカートレーダージャパン 代表取締役社長
「家業を継ぐ」という挑戦から、新たな事業構想へ。二代目経営者がMPDで得た学びとは
――まずは、現在のお仕事やご自身のプロフィールについて教えてください。
当社は、車両ラッピングを中心としたサイングラフィックスの制作・施工を行っている会社です。私は創業者ではなく、二代目経営者として会社を引き継ぎました。経営者になってからは、今年で12年目になります。
――承継されたのはおいくつの頃だったのでしょうか。
36歳の時です。大学卒業後は航空会社で営業職として働いていました。社会人として10年ほど経験を積み、32~33歳頃に家業へ入り、その後数年で事業を承継しました。
――もともと家業を継ぐことは意識されていたのでしょうか。
「いつか継ぐ」と決めていたわけではありません。ただ、家業があることは常に身近にありました。事業承継を経験する方の多くがそうだと思いますが、「家で商売をしている」ということは自然と意識していました。
一方で、子どもの頃から「必ず継げ」と言われていたわけでもありません。父からは、「無理に考えなくていい」と言われていました。
――そのような中で、承継を決断されたきっかけは何だったのでしょうか。
振り返ると、「気の迷い」と言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、ある意味ではそういう部分もあったのかもしれません。
父自身も会社員から独立して会社を立ち上げた人でした。そうした姿を見ながら育ったこともあり、「自分のキャリアは自分でつくるもの」という感覚は、小さい頃からどこかにあったように思います。
ただ、私は自分でゼロから起業したいという強い思いがあったわけではありません。サラリーマンとして働く中で、自分なりのキャリアを築き、その仕事にもやりがいを感じていました。
その一方で、「家業がある」という環境そのものが、とても特別なことではないかとも感じていました。周囲を見渡せば、ほとんどの人は会社勤めの家庭で育っています。そう考えたときに、「家業を継ぐ」という経験は、なかなかできるものではない。だったら、それに挑戦してみる価値があるのではないかと思ったんです。
――承継後の経営はいかがでしたか。
総じて言えば、目の前のことを地道に積み重ねてきたということに尽きると思います。
社長といっても、営業もしますし、経理もしますし、制作もする。時にはトイレ掃除もする。中小企業の経営者は何でもやらなければなりません。
大きな危機があったわけではありませんが、業績が伸びる年もあれば、そうではない年もある。そうした波を繰り返しながら、利益を少しずつ積み上げ、会社の基盤を整えてきました。
一方で、業界全体を見ると、屋外広告やサインの市場は決して右肩上がりではありません。広告費のデジタルシフトや人口減少など、環境変化もあります。だからこそ、新たな柱をつくる必要性を感じていました。
「いま、学び直したい」という思い
――大学院進学以前から、学びの機会は積極的に持たれていたのでしょうか。
単発の講座などには参加していました。たとえば簿記の講座などですね。ただ、数カ月、あるいは年単位で腰を据えて学ぶ機会はありませんでした。
――その中で、なぜ大学院という選択だったのでしょうか。
まず、「新たな事業の柱をつくらなければ」という思いがありました。
ただ、それだけではなく、個人的に「ちゃんと学び直したい」という気持ちもありました。社会経験を積んできた今だからこそ得られる学びがあるのではないか、と感じていたんです。
他の大学院を検討したこともありましたが、行動には至りませんでした。そんな時に事業構想大学院大学を知り、「仕事に直結する学びができるなら、自分に合っている」と思いました。
――大学院はどのように知ったのでしょうか。
元旦の日経新聞の全面広告です。私は今でも紙の新聞を購読しているのですが、その広告を見たのがきっかけでした。
初めて名前を知ったわけではなく、「そういえば聞いたことがあるな」と思ってホームページを見てみたんです。すると福岡校があり、4月入学というのもタイミングが良く、説明会に参加しました。
入学からの一年
――実際に入学してみて、最初の印象はいかがでしたか。
「これから学校に通うんだ」という高揚感がありました。
おそらく皆さんそうだと思いますが、最初はテンションが上がって授業もたくさん履修しました。大変ではありましたが、その勢いがあったからこそ乗り越えられたのだと思います。
――印象に残っている授業はありますか。
どれか一つを選ぶのは難しいですね。
経営に関する授業は、特に実務との結びつきが強く、すぐに実践へと生かすことができます。
それから、一色先生のクリエイティブ・シンキングの授業も印象的でした。もともと頭が硬いほうではありませんでしたが、「もっと柔軟に考えることの大切さ」を実感しました。
加えて、1年次演習で2050年の未来を描き、そこから逆算して事業を考えるグループワークも非常に印象に残っています。大人になってから、本気で未来について議論する機会は多くありません。だからこそ、とても貴重な時間だったと思います。
学びを、経営の現場へ
――大学院での学びは、経営にも生かされていますか。
授業で得た内容は、会社のメンバーにも共有しています。社員育成という意味だけでなく、自分自身にとっても、アウトプットすることで学びがより深まっていると感じます。
私が現在研究を進めている事業構想計画は、「企業内装におけるインナーブランディング」がテーマです。企業理念や経営者の想いを空間に反映し、働く人のエンゲージメント向上につなげます。
実際にサンプル施工を行ったり、材料の検証を行ったりしながら、事業化に向けた実践を進めています。
教授から「フィールドリサーチをしなさい」とよく言われますが、まさにその通りで、実際にやってみないと分からないことばかりです。
同じ方向を向く仲間との出会い
――院生との出会いはいかがでしたか。
やはり大きな価値だと思います。
「何かを変えたい」「新しいことを始めたい」そんな思いを持った人たちが集まっています。
立場も年齢も職業もさまざまです。グループワークやディスカッションを通じて他者の視点に触れることで、「そんな考え方があるのか」と気づかされることも多くあります。
一方的に知識を受け取るだけでなく、対話を通じて学び合えること。それもMPDならではの魅力だと思います。
MPDはどんな人に向いているのか
――現役の院生である小林さんの実感を教えてください。MPDはどのような大学だと思いますか。また、どのような方におすすめしたいですか。
本気で何かを変えたいと思っている人にとって、とても価値のある大学院だと思います。
正直に言えば、決して楽ではありません。仕事と両立しながら学ぶのは大変です。でも、これは不思議ですが、「大変だけど楽しい」と感じるんです。それは、先生方や一緒に学ぶ仲間たちが本当に素晴らしいからだと思います。
また、MPDで研究する事業構想は「経営資源を生かす」ということが前提です。自分や組織がすでに持っている強みを見つめ直し、それらを組み合わせて新しい価値を生み出していく。だからこそ、経営者が学ぶ意義は大きいと思います。
それから、事業構想の「型」が身につくこともメリットだと思います。
この2年間で、事業構想を集中的に学び、研究し、事業構想計画書を書き上げる。その一連のプロセスを経験することで、その後も応用できる「型」が身につくと考えています。
きっと、この学びは大学院在学中だけで終わるものではなく、その先の人生や仕事にも生き続けていくんだろうと感じています。
「本気で変えたい」と思っている人には、ぜひ挑戦してほしいですね。