院生紹介

豊富な知見と
実務経験を有する社会人院生たち。

院生紹介

社会の一翼を担う事業を創出する人材を、多数輩出している事業構想大学院大学。
幅広いフィールドにて事業構想を実践しつづけている、院生の活躍を紹介します。

KunihiroSasaki

仙台校3期生 [2024年度入学]
行政書士事務所

震災から学ぶ人材育成ワークショップ構想

人生を変えた東日本大震災

取材当日、佐々木さんが熱烈に愛しているJ2加盟のサッカークラブ「いわきFCクラブ」の応援ユニフォームに身を包んで現れた。同クラブは佐々木さんが富岡町のまちづくり会社の事務局長を務めていた時にJリーグに加盟し、それ以来応援を続けているという。

故郷である富岡町への愛も人一倍強い佐々木さんはホテルでの勤務を経て、富岡町役場に就職した。そして2011年3月に発生した東日本大震災が佐々木さんの人生を変えた。原発事故により富岡町は全町避難を強いられ6年間無人の町となった。町の復興計画の作成を担当する係長になり、住民、若手職員を合わせたメンバーで100時間のワークショップを開いた。

復興計画策定の議論の中、行政にできることは限界があるとの結論から、官民合同のまちづくり会社(一般社団法人とみおかプラス)を設立し事務局長として奔走した。その中から生まれたものの一つが日本酒「富岡魂(とみおかだましい)」だ。福島県産の酒造好適米を使い、東京農工大学、そして県内の酒蔵の力を借り、5年がかりで商品化にこぎつけた。その後役場に戻り会計管理を担当したが「地域のために面白いことをしたい」との思いが湧いてきた。「何をやるにもまだまだ知識が圧倒的に足りないので学びなおしたほうがよいと考え、事業構想大学院大学への入学を決めました」と入学の経緯を語る。そして、大学での勉強に集中できるようにと24年3月に町役場を退職。並々ならぬ思いで事業構想大学院に入学した思いが伝わってくる。

 

公務員にとっても生かせる授業が多い

入学後は1週間に3、4日講義を受けている。毎朝ランニング、筋トレをしてサウナ浴を終えてから授業に臨むのがルーティンだ。「授業科目は、これから自分で事業をしていくために必要な授業を選んで取ったのですが、まったく関係のない授業からの刺激も大きい」と語る。

その中でも佐々木さんイチオシの授業が、片岡幸彦客員教授の「人材組織とマネジメント」だ。「経営者と社員は立場が違うのでおのずと考え方も違います。ただ、会社を成長させるためには社員の気持ちの持ちようが大事であり、そのためのさまざまな手法を教わることができました」。これまでに10回くらい資料を見直しているという。

もう一つのイチオシとして挙げたのが、奥村隆一特任教授の「クリエイティブ発想法」だ。「言葉で伝えるだけでなく図式化して伝えることの大切さを教わり、いざ実践してみると問題の本質がどこにあるかがとらえやすくなった」と語る。「人事にしても発想法にしても公務員にとっても仕事に生かせる講義内容は熱い」とも。

人材育成に特化したワークショップを組成したい

多くの授業でまとめの発表があるが、佐々木さんは、地域で暮らす人たちが連携して観光振興のためのDMOを設立する構想や、下宿に滞在しながらとがった専門分野のスキルを持つ講師を集めて学ぶ「浜通りボーディングスクール構想」など、授業ごとにすべて違う内容で発表した。「いろいろ考えておいた方が、事業を自分で起こすときに役立つ」との考えからで、2年次の最後までそれを貫くつもりだ。

卒業後は、人材育成に特化したワークショップを組成し、それを売っていく事業を考えているという佐々木さん。中でも東日本大震災の教訓を事例に、南海トラフ地震への備えの大切さを知るプログラムについては注力したいと語る。「私自身がこれから取り組む事業で中心に据えたいのが、1人でも多くの命が奪われないようにすること。そのために平時から何を考えておくべきかをワークショップなどを通して伝えていきたい」。人と地域をこよなく愛する佐々木さんの思いが事業にどのように昇華されるのか、興味は尽きない。